歯周病の治療
歯周病の治療で大切なことは?
進行にブレーキをかける!
歯磨き粉のTVCMなどでも「歯周病」という言葉を耳にすることが多くなりました。それだけ、あなたにもなじみ深い歯の病気だと思いますが、この病気の恐ろしいところは「進行性の病気」であること、そして「気づかないうちに進行する病気」であることです。
「歯周病」とは、歯の周りに発生する病気です。歯周病になると、歯ぐきや歯を支える骨など、歯の周りの組織に症状が見られるようになります。
とはいえ、初期段階では、見た目では分かりづらい程度の歯ぐきの腫れがあるぐらいで、目立った自覚症状はありません。そのため、自分が歯周病であることに気づかない人も多いものです。
ところが、そのぐらいの進行度のうちに治療を受けずにほうっておくと、歯ぐきから出血したり、ひどい腫れを引き起こしたりするようになります。さらに進行が進むと、歯がグラグラ揺れてくるようになり、最悪の場合には歯が抜け落ちてしまうこともあります。
また、もうひとつ歯周病の恐ろしいポイントは、一度かかってしまうと病気になる前の元々の状態まで完全に戻すことは難しいという点です。
ですから、歯周病の治療では「進行を食い止めること」が最も重要なポイントになります。
どんな治療をするの?
治療の進め方
ここまでにお話したように、歯周病の治療は「進行予防」を中心に行います。具体的には、次のような治療を行うことで、歯周病の進行を食い止めていきます。
1:プラーク(歯垢)や歯石を取り除く
歯周病の原因となる細菌の塊を「プラーク」(歯垢)と言い、このプラークが石灰化して固まったものを「歯石」と言います。歯周病の治療では、まず歯周病の原因となるプラークや歯石をできるだけ取り除くことで、炎症を抑え、進行を食い止めていきます。
2:セルフケア(歯みがき)のアドバイス
毎日の歯みがきでプラークをきちんと取り除かないと、歯周病は進行してしまいます。プラークは、日々の歯みがきで取り除くのが基本です。プラークを取り除くための正しい歯のみがき方、プラークが溜まりやすい歯と歯の間を清掃する方法などをアドバイスします。
3:歯科医院でのプロケア(定期的なプロケア)
どれだけ毎日の歯みがきをがんばったとしても、お口の中のプラークを100%取り除くことは不可能です。これは、私たち歯科医療のプロであっても不可能です。そのため、定期的に歯科医院でプラークを取り除く処置をして、歯周病の進行を食い止めていきます。
今の状態を長くキープする
症状が出る前に
ここまでにお話したように、歯周病の治療では「進行予防」を第一に考えていきます。元の状態に治すというよりも、歯周病がひどくなることにブレーキをかけて、歯を失うリスクを抑えていくことが目的になります。
そのため、出血や腫れ、歯の揺れなどの症状が出る前に、歯周病の原因となるプラークを定期的に取り除いていく必要があります。
とはいえ、当院では歯周病の状態がかなり進行して歯がグラグラ揺れてしまっている場合でも、なるべく歯を抜かない方向で治療を行うようにしています。
歯を抜いてしまえば歯周病の症状からは解放されますが、その後に入れ歯などの失った歯を補う治療のことまで考えると、やはり何とか歯を抜かずに過ごせるのであればそのほうが良いに決まっているからです。
もしそんな状態まで歯周病の状態が進行してしまったら、歯みがきと定期健診の重要性はさらに高くなることは言うまでもありません。
ただ、そこまで進行してしまうと、どれだけ努力しても歯を失わずに済む確率はかなり低くなってしまいます。あくまでも歯の延命のための処置になってしまうことは、否めません。
それでもがんばって努力して、何年も歯を抜かずに維持できている方もいないわけではありませんが、やはりそこまでひどくなる前に治療(プラークを取り除くこと)に取り組んだほうが良いのは言うまでもありません。
ですから、もし歯に大きなトラブルや自覚症状がなかったとしても、3ヶ月に1回ぐらいのペースで歯科医院での定期健診を受診してください。
治療の成果を得るために
大切なこと
患者さんと私たちが
力を合わせて
歯周病の治療で大切なことは、患者さんと私たちが力を合わせて、歯周病の進行予防に取り組むことです。
患者さんがご自宅で行うセルフケア(歯みがき)と歯科医院で私たちが行うプロケア(定期的なプロケア)、この2つを両方とも取り組んでいかないと、歯周病の進行を食い止めることは難しくなります。
セルフケア(歯みがき)とプロケア(定期的なプロケア)は、いわば車の両輪のような関係です。一緒に力を合わせて、歯周病の進行を食い止めていきましょう!
歯周病の治療も
“当たり前の結果”を
追求します!
1. なるべく歯を失わないように
歯周病の原因となるプラークを取り除きます。
2. 進行を食い止めるために
ご自宅での歯みがきのアドバイスをします。
3. 良い状態をキープできるように
定期的なプロケアでサポートします。